賃貸マンションの管理会社に勤務しているのですが、退去立会を長年してきた中で気になったことやこれから引っ越しがあり退去立会で不安な人に参考になるように今回は退去立会後の請求などについて書いていこうと思います。
賃貸マンションに住んでいて引っ越しすることになり、
「退去立会後に追加請求されたらどうしたらよいのだろう?」
と不安になっている人も多いと思います。
そこで今回は、
- 退去立会後の追加請求
- 電気・ガス・水道の解約
- 退去立会は代理人でも可能?
- 退去立会時にサインしなくても大丈夫?
についてご紹介していきます。
退去立会後に追加請求されたらどうしたらよいのか?
まず、事前準備として退去立会までに部屋を空っぽにしてから部屋の中の気になる部分の写真を撮影したり写真だと分かりくい場合があるので動画を撮影しておくと良いでしょう。
退去立会後に次の入居者さんが決まっていたり、オーナーによっては退去後すぐに部屋の原状回復工事をして部屋を綺麗にして次の入居者募集活動をされるオーナーもいますので、退去立会後に追加請求されてももう一度部屋を見れない可能性もあります。
その為に写真撮影・動画撮影は大切です。
私が勤務している管理会社だと退去立会時、部屋ごとの各部の名称や面積、数量、貸主・借主負担金額を書くチェックリストを元に部屋を項目ごとにチェックしていき、採寸が必要な場合は採寸もし正確な金額も算出し入居者様に内容の確認を頂き了解を頂ければ、署名・捺印を頂く流れになります。
しかし、どうしても金額に納得されなく持ち帰って家族などに相談したいと言われた場合は後日チェックリストに署名・捺印してもらい郵送してもらう場合もあります。
管理会社側としても工事費用がどうしても工事業者に見てもらわないと金額が分からない部分は後日金額が分かってから電話で内容のご説明をし金額に納得されたらチェックリストを郵送し署名・捺印を頂き返送して頂く場合はあります。
こういう流れで退去の手続きをさせて頂いても追加で請求の連絡がある場合があります。
①残置物
退去立会時に乗っていた自転車や引越の荷物が残されてないかお聞きはするのですが、その時に「無いです。」と言っている人でも後日になり、その人の自転車が自転車置場に残されていたり、ベッドや家具がゴミ置場や共用部分に放置されていたりする場合があります。
防犯カメラがついているマンションなら入居者様を特定しやすく言い逃れも出来ません。
そういう場合は、近くに引っ越しされていると引き取りに来てもらったり、処分代を請求される場合もあります。
②追加請求が貸主負担の部分
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には貸主負担・借主負担の一般的な基準が書かれております。
貸主の負担部分というと経年劣化や普通にお部屋を使用していての損耗・キズ等の補修費
例えば、
- 壁に貼っていたポスターやカレンダーの日焼けによる跡
- 家具や冷蔵庫などの家電製品を設置していたことによるクッションフロアなどの凹み
- 日焼けによるクロス・フローリングの変色
- テレビや冷蔵庫の背面のクロスの黒ずみ(電気焼け)
- エアコンや給湯器など設備の不具合
これらは退去立会い時、オーナー負担の箇所と確認はしていても、追加で請求をしてくる管理会社もあります。
オーナー負担の箇所なので請求があれば管理会社に「オーナー負担の部分じゃないんですか?」と話はするべきです。
それでも管理会社側が主張してくるようなら
「部屋の写真・動画も撮ってますから国民生活センター等しかるべきところに相談しますよ!」
とお話すれば普通はそれ以上請求してこないと思います。
②追加請求が借主負担の部分
借主の負担部分というと故意や過失、不注意で生じた破損・汚損などの補修費
例えば、
- 引っ越し作業時についたクロスのキズや床の凹み
- 落書き
- 釘穴やネジ穴
- 設備の破損・汚損
- タバコを吸ったことによるクロスなどについたヤニの黄ばみや臭い
でも退去立会時、これらの箇所の確認は管理会社と一緒に部屋のチェックをしているはずなので退去立会後の追加請求があるとすると
- 見落としがちな箇所だった
- 退去立会時、部屋の電気が通電していなかったので電気がつかず薄暗い中でチェックをした。
等の場合は可能性があります。
例えば、折戸タイプのクローゼットの扉の裏側のキズや凹みであったり、洗面台や浴室の物置トレーの破損等になります。
ここ数年、電力会社の多くが従来の電気メーターをスマートメーターと呼ばれるコンピューターで電気の開始と停止の遠隔操作ができる新しい電気メーターに取り換える工事をしています。このスマートメーター付きの部屋で電気の解約をするとブレーカーを上げても電気は点かなくなります。
技術の発展は素晴らしいものですが、私たち管理会社の人間にとっては特に日当たりの悪い部屋や天気の悪い薄暗い部屋だと電気が点かないと部屋のチェックに支障が出ている状態ですので懐中電灯を使う等対策は必要です。
借主部分の補修費として追加で請求があったとしても場所を特定する写真や金額が妥当であるかの見積書をもらいチェックが必要です。
電気・ガス・水道の解約方法
電気の場合
現在契約している電力会社にインターネット又は電話で使用停止手続きをする。
退去立会日の1週間前くらいに手続きをしておいた方が安心です。
電話は繋がりにくいのでインターネットの方がスムーズに手続き出来ますが電話で話して使用停止手続きをする方がリアルタイムに手続き出来るのでお時間がある人は電話で手続きした方がよいと思います。
その際、お客様番号の書かれた領収書や検針票などを手元に置いておくと良いでしょう。
ここ数年、電力会社の方で従来の電気メーターをスマートメーターというメーターに交換していってます。
スマートメーターがついている物件は、遠隔で操作出来る装置が電気メーターについてますのでわざわざ電力会社のスタッフに来てもらわなくても遠隔で電気を止めることが出来ます。
ガスの場合
現在契約しているガス会社に電話やインターネットで使用停止手続きをし、ガスの使用停止手続きは立会いが必要なので退去立会日又はガスを使わない場合は、退去立会日までに閉栓の手続きをします。
閉栓の手続きの際は、お客様番号の分かる領収書や検針票、認印を準備しておきましょう。
ガスの使用停止には立会いをして閉栓手続きが必要なので、立会日に一緒に手続きされる場合は、時間に余裕を持ってガス会社に電話又はインターネットで手続きしておきます。
もしもガスの使用停止の手続きを忘れてしまった場合、オートロックのある物件だと退去後は鍵を返却してしまってるのでマンション内に入ることが出来ないので注意が必要です。
代理でマンションの管理会社に代わりに立会いに行ってもらえる場合もありますが、通常は出張料が必要になる場合が多いです。
水道の場合
現在契約している水道局に電話やインターネットで使用停止手続きをします。
退去立会日の1週間前くらいに手続きをしておいた方が安心です。
その際、手元にお客様番号の書かれた検針票や領収書を手元に置いておくとよいでしょう。
注意が必要なのは、管理会社で水道検針をしている物件は使用停止手続きは不要です。
手続きとしては、管理会社のスタッフが退去立会時、水道メーターの数字を一緒に確認し、前回の検針日から退去立会日までの日割りの使用料金を計算してくれます。
その計算は検針後すぐに数字を管理会社の事務スタッフに連絡してすぐに使用料金を出してくれる管理会社もあれば、後日、精算書に使用料金が書かれて郵送される場合もあります。
水道局の検針か管理会社での検針か分からない人は、水道代の請求書が水道局から送付されていれば「水道局」管理会社から送付されていれば「管理会社」の検針になります。
退去立会は代理人でも可能?
仕事の都合等で急遽、退去立会に行けなくなった場合は、事前に管理会社に連絡し手続きが必要です。
代理人の委任状を事前に管理会社に郵送か退去立会当日に代理人に持参してもらいます。
代理人の方には身分の分かる運転免許証等と認印を準備しておいてもらうとよいでしょう。
1つ問題なのは、退去立会はその部屋に住んでいた状況が分かる人でないと借主負担の原状回復工事が必要な場所や状況が分かりにくくトラブルにもなりやすいので可能なら退去立会は予定の調整をされてご入居者本人が立ち会われる方が良いと思います。
どうしても立会いが代理人でないと無理という人は、退去立会の時間帯は電話は繋がるようにして頂き代理人で判断が難しい箇所は電話でやり取り出来ると良いかなと思います。
退去立会でサインしないことも可能?
まずサインしなくても良いと思われるポイントがあります。
①退去立会時、チェック表をもとに室内チェックをしているか?
まず、私が今まで勤務してきた管理会社の退去立会方法は、部屋の玄関からベランダまでご入居者様と一緒に確認をしながら原状回復工事が必要な室内の各部屋を順番にチェックし、クロス、クッションフロアなど面積を出す必要のある箇所は採寸し面積や金額等記入したチェック表を作成します。
まず各社色んなチェック表があると思いますが、まずチェック表が無かったり原状回復工事が必要な箇所の面積や単価が分からないまま精算書にサインを求められると請求の根拠が分からないのでサインはしなくて良いです。
②チェック表に心当たりの無い項目が入っていた場合
チェック表を見て頂き、
- 契約書や特約にルームクリーニング費用が入っていないのにルームクリーニング費用
- クロスの場合、壁壁の部分的なキズで1面だけの貼替ができるにも関わらず全面貼替の費用
- 入居前からあったキズ・汚れ、入居中の地震等不可抗力でついたキズなどの費用
- 経過年数に応じた貸主・借主の負担割合を考慮していない費用
などが入っている場合は、管理会社のスタッフに確認し根拠なく応じてくれない場合は精算書にサインしなくても良いです。
補足として、「経過年数に応じた貸主・借主の負担割合を考慮していない費用」とは、厚生労働省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基準が書かれています。
経過年数とは、物の価値は入居期間に応じて下がっていく考え方です。
例えば、クロスの場合、
経過年数(入居期間)が6年の場合、残存価値が1円となるように貸主・借主の負担割合を決めます。
分かりやすい年数で3年入居したお部屋だとすると入居時にクロスを貼替えている場合、クロスの貸主・借主の貼替の負担割合は貸主50%借主50%になります。
クロス35.5㎡×単価1,200円=42,600円
42,600円×50%=21,300円が借主負担になります。
各管理会社ごとに退去立会時、すぐに計算しやすいように入居期間に応じた負担割合の表を管理会社のスタッフは通常持っています。逆に負担割合について聞いても返事が曖昧な場合は、もちろん精算書にサインをする必要はありません。
まとめ
退去立会前~立会い後までは確認したり手続きしたりすることが多いですが、後々、トラブルの元になる可能性もありますので、面倒ですが都度きちんと手続きや確認は必要です。
特にガスの閉栓の手続きはガス会社との閉栓立会いが必要なのでオートロックのある物件はガス会社に早い目に連絡し閉栓の立会いの予約をしておいた方が良いです。
安易に書類にサインをしてしまうとそれを証拠に反論させない管理会社もありますので、室内の借主の原状回復部分は「根拠がない」部分は立会いをしてくれている管理会社のスタッフに説明を求め、それでも納得がいかない場合は、その管理会社に連絡し説明を求めるようお願いするとたいていは解決出来ます。
消費者センターや裁判に訴えることも出来ますが、管理会社も無駄な労力と時間、悪い評判を嫌いますので、管理会社に連絡するとたいていは解決できます。
少しでもお役に立てれば幸いです。
今回も最後までお読み頂き有難うございました。
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